金属を腐食から防ぐ!工業に広く使用されているリン酸処理


皮膜を形成するために行われるリン酸処理

リン酸処理という言葉をご存知でしょうか。聞いたことはあるけれど、どのようなものなのか想像できないという人も多いと思います。リン酸処理とは、リン酸を使用して金属の表面にリン酸塩皮膜を生成させる化学処理のことを言います。リン酸処理に使用される物質として一般的なのが、リン酸鉄やリン酸亜鉛などのリン酸塩の溶液です。これらの溶液を処理したい金属にかけることで、簡単に塩皮膜を形成させることが可能です。リン酸処理を工業目的で使用することに大きな役割を果たした兄弟の名前をとって、パーカー処理やパーカーライジングという名称で呼ばれることもあります。昔からさまざまな工業製品に利用されてきた、実用性の高い科学技術です。

鋼の腐食を防ぎ、下地処理もできるリン酸処理

リン酸処理を行われることが多い金属として代表的なものが鋼です。鋼の表面に不溶性のリン酸塩皮膜を形成させることで、時間の経過により起こる可能性のある腐食から、鋼の本体を防ぐことができます。リン酸処理は金属の表面を腐食から保護する目的の他に、別の工程を行うための前処理として用いられることがあります。広く行われているのが塑性加工をする際の、潤滑剤の下地処理を目的とした使われ方です。下地の処理を目的にするリン酸処理は、腐食を防止するために行われるリン酸処理とは異なった性質のリン酸溶液が使用されることが多く、リン酸カルシウムなどの物質がよく使用されています。処理時間を変えることで、皮膜の性質を目的に合わせて変えることもできます。

リン酸処理は金属製品に対するメッキ加工の一種で、艶のある皮膜を形成して錆の発生を防ぐ効果があります。工場のパイプなど、水に濡れやすい環境で使う金属製品を保護するのに最適な加工です。